ニュースの概要

ランドリー向けの決済サービスを手がけるAirwalletが、セルフ式コインランドリー向けの新しい端末「Axel」を発表した。洗濯機や乾燥機の前でクレジットカードやスマートフォンをかざすと、その場で運転が始まる。端末には機器を動かす制御機能と非接触決済の機能がひとまとめに入っており、現金や専用カードを用意する必要がない。運営者側はクラウド上の管理画面から、複数の店舗の売上や機器の稼働状況、利用の傾向をまとめて確認できる。無人運営が当たり前の業態で、集金と見回りの負担を減らす狙いがある。

引用元: Airwallet、洗濯機本体に直接設置するタップ決済端末「Axel」を発表(LaundryBizCenter)

分析・見解

決済を機器の一部に組み込む発想の転換

従来のコインランドリーは、店内の精算機で硬貨や専用カードを扱うか、機器ごとのコイン投入口に頼ってきた。Axelは決済と機器の制御を一つの端末にまとめ、洗濯機や乾燥機の前で支払いから運転開始まで終わらせる。

ここが肝心な点だ。決済端末が後付けの周辺機器から、機械の操作盤そのものに変わる。利用者は両替もチャージも要らず、機械の前に立つだけでよい。決済と制御が別々の装置だと、支払いは成功したのに機械が動かない、という食い違いが起きやすい。一体にすれば、原因の切り分けも返金の判断も早くなる。自動販売機が硬貨専用から電子マネー対応へ移った流れと似ているが、洗濯機は支払い後に数十分動き続ける。途中で乾燥時間を足す場面もあり、操作と課金が密接につながる点が違う。

利用者の便利さより運営側の見えない部分が埋まる

無人店舗の悩みは、店で何が起きているかが見えにくいことだ。どの機械が一日に何回回ったか、混む時間帯はいつか、故障で止まっている台はないか。現金中心の運営では、硬貨を回収して初めて売上が分かる。

クラウド管理なら、これらが複数店舗分まとめて記録される。私は、この稼働データこそ集金の効率化より価値が大きいと見ている。台数の入れ替え、料金の見直し、乾燥機の増設といった判断を、勘ではなく数字で行えるからだ。見回りの頻度を店ごとに変えることもできる。

他業界のタップ決済が示す普及の道筋

交通機関が良い先例になる。ロンドン交通局は2012年にバス、2014年に地下鉄などでカードのタップ乗車に対応し、券売機の前で並ぶ手間を大きく減らした。日本でも、少額でもカードやスマートフォンで払う習慣はすっかり定着している。利用者側の準備は、すでに整っているといえる。

ただし、コインランドリーの一回の支払いは数百円から千円台の少額だ。手数料の重さが交通や小売より目立ちやすい。たとえば手数料が3%なら、700円の利用で21円かかる。この負担を、硬貨回収や両替機の保守にかかる手間と比べて見る必要がある。加えて、休日の夕方など混雑時に支払いの処理が詰まらないかも、見ておきたい点になる。

課題は通信の安定と現金を好む利用者への配慮

タップ決済は、通信が止まると使えなくなる恐れがある。通信が切れたときに機械がどう動くか、支払い済みで運転しなかった場合にどう返金するかは、設計の出来を左右する。公開されている範囲では、既存の機種への後付けの可否や費用までは分からない。電波環境が悪い地下や郊外の店舗では、とくに事前の検証が欠かせない。

また、現金を好む高齢の利用者は一定数いる。当面は現金との併用が現実的だ。今後は、決済データを使った時間帯別料金や、終了を知らせるアプリとの連携へ広がるだろう。端末がデータを持つほど、洗濯機は単なる貸し出し設備から、サービスを売る窓口へ近づく。

ビジネスへの影響

導入判断の前に確かめたい三つの数字

まず確認したいのは、端末の初期費用と月額費用、決済手数料率、一回あたりの平均利用額の三つである。この三つがそろえば、おおよその採算が見える。

例として、一台が一日に六回回り、平均単価が700円とする。手数料が3%なら、一台あたりの月の手数料は約3,800円だ。月の売上は約12万6,000円になる。十台の店なら、手数料は月3万8,000円ほどだ。この金額を、硬貨回収の巡回費、両替機の保守、釣り銭切れによる機会損失と並べて比べる。見合うかどうかは店ごとに答えが違う。

小さく試して現金との併用から始める進め方

いきなり全台を入れ替える必要はない。時間追加の操作が多い乾燥機から数台で試し、利用者の反応と売上の変化を一、二か月見るのが無理のない進め方だ。現金用の設備は残し、タップ決済の利用割合が上がった段階で整理していけばよい。

観光地やホテルの近く、外国人の居住が多い地域では、両替や専用カードの説明が要らなくなる利点が大きい。反対に、高齢の常連が中心の店では、案内表示や店員の声かけを手厚くしたい。

契約前に聞いておくべき運用面の質問

通信が切れたときの動作、二重請求や未稼働時の返金手順、売上データの出力形式は必ず確認する。既存の機器に後付けする場合は、保証や保守の責任がどこにあるかを文書で残したい。売上データを会計ソフトに取り込めるかどうかも、複数店舗を持つ事業者には日々の手間を左右する。

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